
リズムゲームの楽しみ方を広げる 『ガルパ杯』の成功秘話をインタビュー!

『ガルパ杯』とは、Craft Eggが開発・運営しているリズムゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!(以下、ガルパ)』の公式リアルイベントのこと。リズムゲームのプレイスキルを磨いたプレイヤー同士がスコアを競い合い、優勝を目指すイベントです。第1回は東京ビッグサイトのみで開催でしたが、第2回はより多くの方にご参加いただけるよう、ゲーム内1次予選、地方2次予選を開催。その後の準優勝および決勝は、池袋・サンシャインシティで開催されたリアルイベント「ガルパーティ! 2019 in池袋」の会場で行われました。規模を大きく拡大し、成功を収めた第2回ガルパ杯の裏側をお届けします。
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目標は、ガルパをプレイしている誰もが楽しめる大会にすること。
第2回ガルパ杯のプロモーションを任せたい。入社後間もなく、そう告げられたプロモーションプランナーの岩崎は大きなプレッシャーと不安を感じた。第1回ガルパ杯は運営の不手際などが重なり、参加者の評価が芳しくなかったからだ。前回を超えるものにしようと心に決め、過去大会の分析および前任者ヘのヒアリングの実施を通して、「お客さまに参加して良かったと思ってもらえるガルパ杯とは、一体どんなものだろうか」と考え続けた。
出てきた答えは、「みんなが楽しく遊べる『ガルパ』らしいカジュアル感と、腕に自信のあるプレイヤーが競い合う緊張感を両立して、ガルパをプレイしている誰もが楽しめる大会」だった。そのゴールを目指して、本番でプレイヤーがストレスなくゲームに集中できる環境や、観客、生放送の視聴者と共に盛り上がれる演出などを一つ一つ丁寧につくり込んでいった。
また、地方で行われる2次予選を開催するのは初の試みで、前例のない挑戦への苦労も数多くあった。1次予選はゲーム内で実施されたが、地方2次予選は博多、大阪、名古屋、東京、仙台の5カ所の地方会場で開催。そのため参加人数の予想、それに見合う会場の選定、開催時間の調整、さらには大会のルールブックづくりなど、やるべきことが際限なく見つかり、把握するだけでも一苦労だった。
リズムゲームをプレイする人にとって、一番いいものとは?
2018年11月からアプリ開発のプランナーを任された小寺は、難題に向き合っていた。期間中いつでもリズムゲームに挑戦できる1次予選機能を開発するかたわら、地方2次予選、準優勝および決勝で使用する、リアルタイムでプレイするための機能の開発を並行して行なう。
一番大事にしたかったのは、どちらの機能でも、プレイヤーが普段の体感でプレイできること。「ですが、限定されたイベントの時間内で、普段選択していただいているオプション設定を入れようとすると進行の妨げになる可能性がありました」。そのリスクを冒しても入れるべきかどうか。開発陣やプロデューサーと、何度も話し合いを重ねた。「最終的には、 “ユーザーファースト”を最優先するということでチームの合意を得て、いつものプレイができる機能を入れる決断をしたんです」。
一方、譜面(リズムゲーム画面に表示される、リズムアイコンの配置)の制作を担当する対馬は、大会を盛り上げる一要素として、決勝に相応しい難易度の譜面づくりに着手していた。「もともと『ガルパ』には、“プレイ時の気持ち良さを優先し難易度を低くして、なるべく多くの方に楽しんでもらおうというコンセプト”があるので、難易度の高い譜面を追求すること自体が初めてでした。そこに面白さがありましたが、大会に出場するスキルの高いプレイヤーに合わせて難しくし過ぎて、みんながプレイできないものにはしたくない。その落としどころに苦労しました」。悩んだ末、対馬は一つのアイディアを試すことにした。「総合的な難易度は難しいけど、前半は簡単にクリアできるようにして、比較的後半までコンボがつながりやすくなるような配置にしました」。結果、幅広い層のプレイヤーに、高難易度譜面の面白さを提供することができるのではないかという狙いだ。
その後の開発プロセスでは、社内の全メンバーが出来上がったアプリを実機でプレイし、体感を確認する通称“おさわり会”を繰り返し実施。「ポジティブな意見だけを見るのではなく、ネガティブな意見も一つずつ精査して、ブラッシュアップをしていきました。開発が進むたび、何度も調整したことで、お客様にとって一番いいものを作ることができたと思っています」と小寺は言う。


1次予選を無事に終了し、地方2次予選スタートへ。
2019年3月、ゲーム内での1次予選がスタート。しかし、すぐにトラブルが発生する。「エントリーフォームとリンクがつながっていないことに気づき、エントリーできないというお問い合わせが来てしまいました。その日を楽しみにしていたお客さまに本当に申し訳なくて……。すぐに開発陣と相談し、その日のうちに修正版をリリースしました」と小寺。その頃、地方2次予選の打ち合わせをしていた岩崎は言う。「アプリ内で不具合を出したことで、お客さまの目も厳しくなってくる。気を引き締め直しました」。
その後、エントリー数は着実に増加。そのデータをリアルタイムで精査し、地方2次予選に進むプレイヤーへの連絡、地方の各会場での運営の準備など地道な作業を重ね、2次予選は博多からスタートした。博多、大阪、名古屋、東京、仙台と会場が変わり、「回を重ねるごとに、SNSでの評判も良くなってきて安心しました」と、岩崎は胸をなでおろした。

幅広い層が楽しめるイベントとして、大成功!
そして、2019年6月8日に迎えた池袋・サンシャイン噴水広場での準決勝・決勝の日。当日は、動画配信サイトでの生放送中継が入る。岩崎はその前日、準備に追われていた。「最も気になっていたのが、生放送を配信する上で絶対に起こる“音ズレ”です。そのため少しでも“音ズレ”を解消・軽減するために機材・配線の確認・調整・現場でのテスト、そのやりとりを何度も繰り返しました」。
大会開始を固唾を飲んで見守っていたのは対馬だ。「自分たちが作った譜面が、プレイヤーや観客にどのように評価されるか、大会が盛り上がるのか、ドキドキしながら待っていました」。
その後、大会がスタート。噴水広場のフロアから2階、3階は、観客で埋め尽くされ、生放送の視聴者は1万7千人にのぼった。
小寺は参加プレイヤーが初見の譜面をクリアするたびに、観客が歓声を上げ盛り上がっていく様子を見て感動し、胸がいっぱいになったと言う。一方、対馬は自分たちのアイディアが受け入れられたことに喜んでいた。「サビまではみんなノーミスでクリアしていき、後半は徐々にミスが出て脱落者が出てくる。そういうドラマチックな展開を織り込んだことで、うまく盛り上がりを演出できたと思います」。そう語る顔は晴れやかだ。
第2回ガルパ杯は盛況のうちに幕を閉じた。次回大会ではもっとブラッシュアップして、ガルパを知っている人にも、知らない人にも、さらに驚きや発見、楽しさを届けたい。それが3人の共通した想いだ。
