PROJECT STORY

#04

Craft Egg×Atelier対談 「ガルパ」イラスト制作のこだわり

2021年3月で、リリースから4年を迎える「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」(以下、ガルパ)。ゲームの進化とともに、イラストの表現も様々な変化を遂げてきました。今回は、当社のアートディレクターに加え、株式会社Atelier(以下、Atelier)のお二人をお呼びして、ガルパのイラスト制作の体制やこだわりについて話を聞きました。

MEMBER

風通しの良さがあって現在のクオリティと物量が実現できる

はじめに、これまでの経歴と普段の業務におけるそれぞれの役割について教えてください。

信澤

新卒でコンシューマゲームの下請け制作会社に入社し、イラスト制作を担当しました。その後スマートフォンアプリの開発会社に転職し、新規プロジェクトの立ち上げに携わりながら、クリエイティブチームのマネジメントを行うようになりました。
フリーランスを経て、現在はCraft Eggで「ガルパ」のイラストのアートディレクターを務めつつ、新規IPの立ち上げにも携わっています。

大森

2015年に、取締役としてAtelierに入社し、初めてイラスト制作に携わるようになりました。イラスト制作の進行管理とスタッフのマネジメントを担当した後、代表取締役社長に就任して現在に至ります。「ガルパ」においては、現在もイラスト制作の進行管理を担当しています。

石井

専門学校を卒業後、イラストの仕事でご一緒していた方が会社を立ち上げるということで、誘っていただいたのがAtelierです。最初はCraft Eggさん以外の案件にも携わっていましたが、現在は「ガルパ」1本に集中して絵を描いています。イラスト制作の中間工程から最終調整の担当を経て、一年ほど前よりAtelier側のアートディレクターを務めるようになりました。

現在の両社の協力体制や役割分担、制作フローについて教えてください。

信澤

最初はすべて内製でイラストを制作していました。
ある時、イラストのクオリティをさらに上げていきたいという話が社内で上がったのですが、物量も増えていく中でクオリティを上げるのには大変な工数がかかります。そこで、一緒にイラストを制作してくれる協力会社を探すことになりました。

Atelierさんはサイバーエージェントグループの別の子会社でも実績があったため、その子会社経由で紹介されました。その時点では他にも複数の制作会社が候補として上がっていたのですが、最も重視していた「同じ社内にいるかのような関係性をもてる」という点に当てはまったのがAtelierさんでした。私たちがやりたいことを実現するための体制も、すぐ用意してくださいました。

大森

個人的な話になってしまいますが、私はAtelierに入社する前はずっと引越し業者で働いていました。どんな仕事でもスケジュールを守ることは大事ですが、引越しのスケジュールは「1日遅れます」が許されません。
そういう面でスケジュールに対する感覚はかなり厳しくもっていますし、スタッフのマネジメント経験もあったため、「ガルパ」のイラストのクオリティと物量に耐えうる体制も用意できました。

また、Craft Eggさんにはかなり風通しのいい環境を作ってもらいました。通常は両社のディレクター同士など、窓口となる人間同士だけでやりとりすることが多いかと思いますが、「ガルパ」のイラスト制作においては両社のイラストレーターとディレクターが直接やりとりをしています。この風通しの良さがあって現在のクオリティと物量が実現できているのかなと思います。

信澤

そうですね。風通しは良くした方がスピードも上がりますし、お互いのアウトプットを随時確認し合えるというのは、モチベーションの面でもいい影響があると考えています。

体制としては、Craft Eggに約20名、Atelierさんに約25名のイラストレーターが所属しており、一緒にゲーム内のイラスト制作を行っています。
Craft Eggは主に衣装デザイン、イラストのレイアウト、ラフといった「上流工程」と、最終調整と呼ばれる仕上げ作業を行っています。Atelierさんにはカラーラフ、線画、着色といった中間工程をお願いしていますが、明確に線引はしておらず、Craft Eggが中間工程を行うこともあれば、Atelierさんに上流工程をお願いすることもあります。基本的にはそれぞれのイラストレーターが得意とする工程を担当してもらっています。

Atelierさんから見て、「ここはCraft Eggならでは」というところがあれば教えてください。

大森

他の会社では絵の監修を行うアートディレクターと、実際に手を動かし絵を描くイラストレーターに分かれていることが多いのですが、Craft Eggでは皆さんが絵を描き監修もするというのが印象的です。
ディレクション専任の方だと、文字だけのフィードバックからその意図を汲み取らなくてはならないということもあるのですが、Craft Eggの皆さんは実際に絵に手を入れてフィードバックをくださるので、意図が明確ですし、スピードも上がります。

信澤

そこは採用のときから意識して伝えています。
描くことに集中したいのならAtelierさんの方が合ってるかもしれないし、ディレクションだけするというのもちょっと弊社とは合わないのかなと。

大森

採用からそれを伝えているのはいいですね。
弊社では採用時にイラスト制作の技術試験を行っているのですが、提出されたイラストは信澤さんにも見てもらっています(笑)。「ガルパ」のイラストのクオリティがどんどん上がっているので、そこに応えられる力が必要になってきます。
ただ最初から完璧を求めるわけではなく、社内での教育にも力を入れています。幸いにも長く勤めてくれるメンバーが多いので、成長したメンバーが新しいメンバーを教え、そのメンバーがまた次のメンバーを育てるという流れができています。

大事なのは「パッと見」のインパクトと、一枚のイラストとして「欲しい」と思えるような工夫

イラスト制作において、大事にしていることがあれば教えてください。

信澤

我々が描いた絵を通して、「ガルパ」を知らない方には興味を持ってもらいたいですし、「ガルパ」のファンの皆さまには、キャラクターの新たな魅力を感じてほしいと思っています。
そのためには「パッと見」のインパクトや、キャラクターを知らなくても一枚のイラストとして「欲しい」と思えるような工夫をしなければなりません。そのキャラクターの成長や変化を理解して、それをイラストとしてどう魅力的に表現していくか。手法の選択が大事だと考えています。

石井

この「パッと見」の印象をどう与えるかという点で大事になってくるのが、最終調整と呼ばれている工程です。最終調整はかなり感性重視の工程で、ラフからこのイラストで表現したい「雰囲気」を読み取り、いかにそれに近づけ表現できるかということが重要なポイントになります。
そういった特色もあり、以前この工程はCraft Eggの専任の方のみで行われていたのですが、「君に伝うメッセージ」という市ヶ谷有咲のイラストで、初めて私も最終調整を任せていただきました。
私にとって大きなチャレンジだったので、とても思い出深い一枚になっています。

イラスト上では見えない背面や、内側の構造まで理解して描く

リリース初期からこれまで、イラストにも様々な変化があったと思います。詳しく教えてください。

石井

初期の頃に比べて、楽器や衣装などの細部の表現にこだわるようになりました。
楽器に詳しいわけではないので、最初は調べながらイメージで描いていた部分もあったのですが、今は実物や3Dモデルも参考に見れるため、より精巧に細かい部分を描けるようになりました。

衣装も同じです。「ガルパ」の衣装には、ビーズの大きさやラインの太さ、レースのつき方などがとても複雑なものもあります。そこをなんとなく、分からないまま描くと、絵を見てくださる方にも「どういう風になってるんだろう?」と思わせてしまって、魅力の伝わり方が半減してしまいます。イラスト上では見えない背面や、内側の構造まできちんと理解して描くようにしています。

信澤

Atelierさんがそういった細かい部分にこだわってくれるおかげで、我々は「イラストで何をしなければいけないか」という次のチャレンジを考えることに時間を使うことができます。
3周年から始まった2周目の「ドリームフェスティバルガチャ」の表現は、最終調整をずっと専任としてやってきた弊社のスタッフが「やりたいことをやりたいように表現してみる」ことで生まれました。大きな挑戦だったと思います。

石井

私も衝撃でした。こういうのもアリなんだ、もっとやっていいんだ、と思いました。

信澤

そうやって新しい表現から得た気づきを、自身が制作するイラストに生かすことで、チーム全体としてのイラストの幅が広がっていくといいなと思っています。

これまで見たことないものを生み出していきたい

これから実現したい・チャレンジしたいことがあれば教えてください。

石井

個人的な話になってしまいますが、ラフを描きたいなと思っています。
今は主にディレクションを行っているのと、元々ラフを得意としているメンバーがいたため、なかなかこれまで描く機会がなかったんです。やはり工程ごとに違った楽しみがありますし、見る仕事ばかりしていると描くスキルが衰えてしまうと思うので、今後も新しいチャレンジはしていきたいです。また、自分がその機会を得るためにも、若手の育成をきちんとして、教えられる人を社内に増やしていきたいなと思います。

大森

私たち制作会社は、0から1を生み出す仕事ではなく、1を100にする仕事です。信澤さんのような0から1を生み出す仕事をしている方が、それに時間を使えるようにするためにも、Atelierでできることを増やしていきたいです。その結果、Craft Eggさんが新しいチャレンジにかける時間をもてるといいなと思っています。

Atelierとしては、新卒採用にも力を入れて、若手がしっかり成長していく環境を作っていきたいなと思っています。石井が言うように、若手が育つことでベテランが新しいことにチャレンジできますし、それがひいてはイラスト業界の盛り上げに繋がると思っています。「楽しい」と「楽」は同じ漢字ですが、自分自身は楽することよりも、楽しいということを大事にしたいですし、まわりの人にも楽しんで仕事をしてもらえるように、できる限りのことをしていきたいです。

信澤

まだまだイラストでやれることは沢山あると思っています。今の制作メンバーそれぞれが工夫を重ねてブラッシュアップできることもあるだろうし、新しい絵の作り方をもった方が加わって、今の作り方や表現との間に化学反応が生まれるといいなとも思っています。
長くやっていると「ここなら外さないだろう」というのがなんとなく分かってくるんですが、あえて外したものや、これまで見たことないものを生み出していきたいです。

今はガルパとは別に新規プロジェクトもあるので、Atelierさんと「ガルパ」を通して培ってきた作り方は踏襲しつつ、新しい絵柄や見せ方にもチャレンジしています。ぜひ楽しみにしていてください。

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