PROJECT STORY

#03

Craft Eggの音声収録スタジオ「Studio Egg」設立の裏側

2020年秋、Craft Eggの音声収録スタジオ「Studio Egg」が設立された。
構想からおよそ2年。普段行っている業務とは全く異なる「スタジオの設立」というプロジェクトは、どのようにはじまり、どのようにやり遂げられたのか。スタジオ設立の立役者3名にその裏側を語ってもらった。

MEMBER

何の知見もなかったけれど、二つ返事で「やります」

はじめに、このプロジェクトにおけるそれぞれの役割について教えてください。

田中

私はこのプロジェクトの責任者を務めました。設立までは物件探しや契約・予算まわりなどプロジェクトの進行全般を、設立後はStudio Eggの管理責任者としてスタジオ全体のメンテナンスなど管理業務を行っています。

井上

私はこのプロジェクトが立ち上がった当時、ボイス収録の見積もり作成や収録現場への同行もしていたので、収録現場を知る立場として参画しました。スタジオ用途として問題ないか確認するため、物件の内見にも全て立ち会いました。

千葉

私が参画したのはプロジェクト終盤の2020年6月頃です。
スタジオに合った家具の選定やスタジオ全体のトンマナ設定、ロゴ制作などを行いました。

このプロジェクトが立ち上がった経緯を教えてください。

田中

『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』(以下、ガルパ)の音声収録を安定的に行えるようにということと、収録にかかるコストの削減を目的として、およそ2年前に構想を練りはじめました。それまではキャストとスタッフの方々、そして外部のスタジオと、それぞれのスケジュール調整が必要だったので、調整がうまくいかないことがよくありました。自社でスタジオを持てば、少なくともスタジオの予約問題は解消できるはずなので、ぜひやろうということになりました。

当時の上司に「色んなことにチャレンジしていきたい」と常々話していたのもあり、「スタジオの責任者やってみる?」と声をかけてもらいました。何の知見もありませんでしたが、二つ返事で「やります!」と伝えました。

正直諦めたくなるような瞬間もあった

スタジオを設立するにあたり、コンセプトなどはありましたか。
またそれはどのように実現されたのでしょうか。

田中

Studio Eggのコンセプトは「Craft Eggらしく、明るく落ち着いた、温かみのあるスタジオ」でした。実はこのコンセプトを実現するのにとても苦労したんです。

井上

音声収録スタジオは防音工事も必要ですし、密閉性を守るため窓もないのが一般的で、どうしても窮屈で暗い感じになってしまいます。そのため「天井高にはこだわりたい」という共通認識がありました。でもなかなかその条件を満たす理想の物件に出会えませんでした。

田中

何か所も物件をまわって、「この天井高で防音工事をしたら、もっと天井が下がってくるし、窮屈になるよね」と体感を大事に検討を重ねました。ここなら良さそうだと思う物件に出会えても、スタジオという使用用途だとNGだったりと、なかなかスムーズには進まなかったですね。

時間だけが過ぎていく中で、正直自分の中では諦めたくなるような瞬間もありました。「こんな理想の物件、本当に見つかるのかな?」と。でも井上さんが「妥協せず、見つかるまでやろう」と言ってくれて。それがなければ、コンセプトどおりのスタジオは実現できなかったので、とても感謝しています。

井上

確かにそういう気持ちにもなる状況ではありましたよね(笑)。ただ、パソコンに向かって仕事をしているときは間違えても「Ctrl+Z」で戻せるけど、スタジオ設立はそうはいきません。
キャストやスタッフの方々が「窮屈だな」と思いながら収録をしたら、それが作っているものにも出てしまうと思うんです。なので、できる限り最高の環境を用意することがいいものづくりになって、結果ユーザーファーストにも繋がると信じていました。

「小さいことでも丁寧にする」というのはCraft Eggの文化のひとつ

他に工夫したところや、こだわりがあれば教えてください。

田中

コロナ禍でも収録に来てくださるキャストやスタッフの方々が安心、安全に過ごせるように、スタジオに入ったときの人の導線は入念に確認しました。

千葉

スタジオに入ってまず手の消毒をして、検温をして、靴をしまって…という流れがどの配置だと最適なのか、30回以上実際に置き換えて確認しましたよね。

井上

設置する予定だったウォーターサーバーをペットボトルの水に変更したりもしましたね。施工がはじまるタイミングで緊急事態宣言が出されたので、これから作るのであれば今の時代にあった、コロナ対策を前提としたスタジオにしようと話し合いました。試行錯誤を重ねて安心して収録を行える環境にできたのかなと思います。
「小さいことでも丁寧にする」というのはCraft Eggの文化のひとつです。それはゲームづくりに限らず今回のプロジェクトでも大事にしました。

田中

最小限の人数で収録を行わなければならない状況なので、私は初収録の現場には立ち会っていないのですが、無事に収録が終了しキャストさんたちにも喜んでいただけたと連絡があったときは、心からほっとしました。

※写真は完成したStudio Eggで収録に臨む相羽あいなさん。 この時に収録した音声はCraft Eggの公式Twitter(@CraftEgg_PR)で公開しています

何かにチャレンジしようとしたときに、社内の誰かが必ず力になってくれる

このプロジェクトで印象的だったことがあれば教えてください。

田中

普段はバックオフィスの担当なので、今回のプロジェクトを通してどれだけ会社のメンバーやキャストの皆さんが本気でものづくりと向き合っているのかを知る貴重な経験になりました。ゲームづくりをこれまでよりずっと自分事化できるようになった気がします。
あとは井上さん、千葉さんといった知見のある二人の協力は本当に心強かったです。何かにチャレンジしようとしたときに、社内の誰かが必ず力になってくれるというのは、Craft Eggの魅力だと思います

千葉

田中さんは、しんどいときでもしんどさを表に出しませんよね。何か問題が生じても前向きに解決に向けて動いてくれるので、自分も力になりたいと自然に思わせてくれます。例えば会議がうまくいかなかったとき、次回に向けてどう改善すればよいか、会議が終わってすぐ相談に来てくれるんです。そういうことを当たり前にできる人ってすごいなと尊敬します。
普段のゲームづくりとは違う、スタジオ設立というこのプロジェクトは、責任者が田中さんじゃなかったらうまく着地しなかったのではないかと思います。

井上

すごく雑に聞こえるかもしれませんが、細かくて難しいことは全部田中さんがやってくれちゃうんです(笑)。分からないことだらけだったと思いますが、それを見えないところでどうにかしてくれている。実行力がすごいなと思います。
千葉さんに関しては、もう4年くらい前ですが、入社直後に「オフィスデザインにも興味がある」と言っていた記憶があって。デザインまわりの話になったときにすぐ「それなら千葉さんに頼もう」となりました。確か休日に自分で椅子作ってたよね?(笑)

千葉

よく覚えてましたね!仕事として携わったことはないのですが、以前からインテリアが好きだったんです。こうやって、誰かが「やりたい」と言ったことを覚えてくれていて、その機会がやってきたときにチャレンジさせてくれるというのも、この会社のいいところだと思います。
いつも一緒にゲームづくりをしているデザインチームにも相談したのですが、みんな応援してくれました。トップダウンで「これをやって」と言われることはほとんどなく、やりたいという気持ちを尊重する文化があります。

最後に責任者の田中さんから一言お願いします

田中

Studio Eggは、Live配信環境の整備やリモート収録の実現に向けて、現在もアップデート中です。まずはたくさんの方にこのスタジオを使ってもらえるように頑張りたいなと思っていますが、同時に「ゆくゆくはこんなことも実現したい」という未来の夢も持っています。今回このプロジェクトで学んだノウハウを手に、協力してくれた社外の方、そして社内の仲間とまた一緒に仕事ができたら嬉しいです。